第31回 全国子どもとことば研究集会
【小講演】
20日(日)・第1部  9:30〜12:00
・第2部 13:00〜16:00

「改定保育所保育指針・幼稚園教育要領を考えよう」

講 師/

【第1部】天野 珠路(鶴見短期大学部保育科教授)
【第2部】大宮 勇雄
(福島大学人間発達文化学類教授。幼児教育担当)

司会・進行/

今井 和子(子どもとことば研究会代表)

世話人/

小野崎 佳代(東京未来大学特任教授・元保育園長)
工藤 中乃(臨床発達心理士・元保育園長)


概要

 参加者は78名。改定保育指針・幼稚園教育要領への関心の高さが伺えました。 午前中は、天野先生より、指針改定・要領改訂の背景となる保育・幼児教育をめぐる動向(法改正と制度改革)についての話があり、続いて改定(改訂)の経緯とポイント、構成および見直された内容等について、資料とパワーポイントを使ってわかりやすく話してくれました。保育指針においては、乳児・1歳以上3歳未満児の保育に関する記載の充実や、保育所保育における幼児教育の積極的な位置づけにより要領との記載が揃えられたこと、「育みたい資質・能力」及び「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」が共通に明記されたことなど、改定(改訂)の中身をよく理解することができました。

 午後は、大宮先生より「指針・要領の改定(改訂)をどう見るか」というテーマでお話がありました。今回の改定では、@審議経過が不透明、A全体の構成が大きく変わり、3歳以上児については「幼稚園教育要領」「認定こども園教育・保育要領」と同一の記述になった、B「養護」が総則に記載されたが、「養護と教育は一体」なら「保育の内容」の章に「教育のねらいと内容」しかないのはなぜ?C「幼児期の終わりまでに育てたい10の姿」は、これをもとに子どもを評価できるような具体的ものとなっている。「自己抑制」や「忍耐力」は幼児期から求めることか? などの問題提起がありました。さらに、主体的に学ぶ力は遊びの中でこそ育つこと、自分の考えや思いを表現、主張する姿に応えること、「仲間づくり」が困難に立ち向かう力を育てることなど事例をもとに話され、多くのことを考えさせられる内容でした。午前、午後ともグループディスカッションを行い、疑問や質問、意見がたくさん出て時間オーバーするほどでした。


参加者の感想から

新保育指針を勉強しないと…との思いで参加しました。天野先生には具体的に教えていただき、大宮先生にはとても掘り下げたお話を聞くことができ良かったです。意見もいろいろと聞くことができて、園に持ち帰り職員と話し合いを持ち進めていきたいと思います。

お二人の先生のそれぞれの見解をうかがい、自分たちが子どもにとって何を大切にしていくのかということを考えていくことの大切さを改めて感じました。