第31回 全国子どもとことば研究集会
【分科会1】
20日(日)9:30〜16:00

「絵本をたのしむ

助言者/

西村 繁男(絵本作家)

世話人/

市川 美代子(児童図書館研究会・科学読物研究会)
渡邉 真里子(保育園園長)
斎藤 和子(保育者)


概要

 参加者12名。日頃子どもたちが楽しんでいる絵本や、どんなことを聞いてみたいと思って分科会に参加したのかなどを交えて、自己紹介からはじまりました。  
 絵本作家の西村繁男さんは、現在住んでいる藤野という町について、また絵本作家になるまでと、なるきっかけについて話され、これまでの人生をふりかえると人と出会うことで前に進んでいると、そして、ご自分の絵本を時代と作風で三つの期に分けて語ってくださいました。
 午前中は、第一期『おふろやさん』『にちよういち』『やこうれっしゃ』など、人々の日常を取材した「観察絵本」についてのお話。土佐弁の会話で進む『にちよういち』の絵本を、読んでくださり、日曜市のざわめき、雰囲気を目と耳で楽しみました。  
 午後は、第二期『絵で見る日本の歴史』『ぼくらの地図旅行』『絵で読む広島の原爆』について、詳しく、丁寧に話してくださいました。『絵で読む広島の原爆』は、被爆者の語り部の女性と知り合いになったことで、絵本で広島のことをいつかやりたいと思っていたが、ずっとできずにいた作品で、自分ひとりでつくった本ではない。この本をつくるときも、語り部の女性がいつもいるように感じていたというお話は、特に印象に残りました。
 第三期は、その後の絵本について、更に現在取り組んでいる作品についても、話してくださいました。西村さんは、作品が同じパターンになると、別のことをやりたくなる。それが何だろうと思いながら、何でもありの世界に行って、自分の中でのやりたい声をどう生かすか、何を面白がってできるかを、いつも考えているそうです。


参加者の感想から

絵本についてただ読んでいただけでしたが、作品に込められた思いなどを聞き、1冊1冊に深い物語があって出来上がっているんだなということを感じました。面白いを追及することで、面白いが生まれる。まず自分が楽しいと感動しなければ、子どもにも伝わらないんだ。「人と出会うことで前に進める」「大切なものは目にみえない」「お酒は文化を生み出す」

作品をつくった思いを知ることで、その絵本への興味がわきました。こういう機会はいいなぁ、と思いました。作者の遊び心を絵本に挿入できることも、作品を楽しんでいいなぁー、と思いました。