第29回 全国子どもとことば研究集会
【講演】
24日(月)9:30〜11:30

「子どもの創造的想像力を育む保育者の役割」
〜遊びを通してことばが育つ

十文字学園理事・十文字学園女子大学特任教授
筑波大学客員教授・お茶の水大学名誉教授・学術博士

内田 伸子(うちだ のぶこ)


概要

 幼児の国際比較追跡研究により示された結果をもとに、子どもたち一人ひとりの違い、また男女による違い、事柄に対しての年齢ごとの受け取り方の違い等、分かりやすく話していただいた。
 体操教室等に通っている子や、体操の時間を設けている幼稚園や保育園に通園している子どもの運動能力が有意に低く、運動嫌いも多いということ。幼児期に語彙が豊か、指先が器用な子は、小学校での学力テストの成績が高い。語彙の差は保育の形態によって差が出ること等考えさせられることばかりであった。
  母親の働きかけにも「共有型」と「強制型」があり、共有型の方が語彙力が向上することも分かった。共有型の親は、子どもに対して考える余地を与え、子どもに合わせて柔軟に調整できすが、強制型には子どもに対して考える余地を与えず、過度な介入、情緒的なサポートが低くなる。「ほめる、励ます、広げる」という、保育の「3Hのことば」が大切である。
 この講演を通して内田氏は、五感を使った体験の大切さ、子どもたちにとっての遊びは「楽習」であり成長発達には欠かせないものであることを私たちに教えてくださった。 最後に、「子ども中心の保育とは、子どもの心の声をしっかりと聴く、子どものつまずきを見抜く、子どもの考えが進むための足場作りです」とまとめられた。

 


参加者の感想から

子どもが我を忘れて遊ぶ、そこにこそ学びがある。…子どもを主体とした自由な遊びをしっかりサポートできるようにしたい。また、つい教えてしまう自分の声かけを反省。「十四の心で聴く」を心がけたい。

内田先生のお話を聞き、豊富なデータや事例を通して、子どもの育ちにどう関わっていけばよいのかを知ることができました。また、生活や遊びの中で子どもたちが主体的に生きることが子どもたちの力になることを再確認しました。ご紹介いただいた堀合先生の本も読んでみようと思います